10)薬と食事の関係は

薬と食事の関係は

食事と薬の効果については、次の三つの場合が知られています。
 
1)食事によって薬の吸収が妨げられる場合
 薬は食事と一緒になると吸収が遅くなるため、急速に血中の濃度を高めなければならない薬の場合には不利になります。一部の抗生物質などでは薬が食物に包まれて消化粘膜に触れにくくなるのです。
 食事によって消化液の分泌が高まると胃酸によって酸に不安定な薬は分解されます。テトラサイクリン系の抗生物質の場合、食物のカルシウム(特に乳製品)と結合し吸収されなくなります。また、高蛋白食を摂取するとその中のアミノ酸が薬の吸収を妨げることもあります。
 
2)食事によって薬の吸収が高められる場合
 食事による消化液の分泌促進が薬の吸収効果を高めます。胃酸の分泌によりアルカリ性薬剤の溶解は早まります。胆汁により脂溶性の薬剤が溶解されやすくなります。特に、高脂肪食(ベーコン、卵、バターなど)では胆汁分泌が多くなり、グリセオフルビン(水虫の治療薬)の吸収を高めます。食べ物の存在によって胃腸の蠕動が高まり、固形の薬剤は崩れやすく溶け出しやすくなります。高蛋白食を摂取すると胃腸の血流が増加し、特に、肝臓の血流速度が著しく速くなり、プロプラノロール(降圧剤)やメトプロロール(降圧剤)の吸収が増大することが知られています。
 
3)薬と食品の相互作用が生じる場合
 キャベツ、ブロッコリー、レタスなどにはビタミンKが多く含まれています。納豆、クロレラにも多くのビタミンKが含まれています。ビタミンKには血液凝固作用があります。血栓ができやすいため、抗凝固剤(ワルファリンなど)を飲んでいる人の場合、これらの野菜をとり過ぎると効果が減弱されることがあります。納豆菌は腸内ではビタミンKを合成するので、特にこの作用が強いとされています。
 減塩食でサイアザイド系利尿降圧剤の作用が高まり、高血圧の治療効果が一層良くなります。カフェインを含む緑茶、紅茶、コーラなどはあまり大量に飲むとテオフィリン(気管支拡張剤)の副作用を強め、不眠や不穏の原因となることがあります。その他、食物により尿のpHが変わり、薬の尿中排泄に影響を与えることがあります。
 すなわち、酸性尿はアルカリ性薬剤の排泄を促進し、アルカリ性尿は酸性薬剤の排泄を高めるわけで、このように、薬と食べ物の相性の悪い組み合わせというのは、たしかにあることはあるのですが、大雑把な言い方をすれば、特に医者の指示でもないかぎり薬と食べ物の組み合わせについてはさほど神経を使うことはないでしょう。それより規則正しい食事を心がけてバランスよく栄養をとることの方が大切でしょう。
 健康の基本はあくまでも食事であり、それを無視して薬を飲んでもあまり意味がないということを忘れないで下さい。