16)コンプライアンスという言葉を耳にしますが、どういう意味なのでしょう


コンプライアンスという言葉を耳にしますが、

どういう意味なのでしょう

 薬物療法においては、医師の処方した薬を患者さんが指示どおり服用することが前提ですが、実際は副作用、病状などを患者さんが自己判断し、服薬しない場合があります。患者さんが薬を医師の指示どおりに用いることを「コンプライアンス」、用いないことを「ノンコンプライアンス」といいます。病気によっては、ノンコンプライアンスによりさらに病状を悪化させ、生命にかかわることにもなりかねません。
 この責任の大部分は患者さん自身にあるでしようが、薬の服用方法等について患者さんへの適切な指示をしない医師や薬剤師にもあります。
 ノンコンプライアンスの理由としては、「飲み忘れ」がもっとも多く、次いで「病気がよくなったから」「薬の内容を知っているので加減して服用する」「副作用が心配または副作用が出たから」など、患者さんの自己判断で服薬を中止する例がかなり多くみられます。
 
 ここで問題なのは、患者さんが勝手に服薬を中止することにより、より重大な副作用を生ずる薬剤や病気があること、すなわちノンコンプライアンスによる影響も重要になってきます。
 たとえば、高血圧の人が飲んている降圧剤を急に中止して、かえって急激な血圧上昇をきたしたり(リバウンド現象)、抗生物質を途中でやめて、症状がぶりかえしたり、へたをすると病気が悪化することもあるのて注意が必要てす。
 
「飲み忘れ」を防ぐには、
 ・医者から薬をもらったとき、袋に飲む日付や時刻を書き込んておく
 ・食事のとき、薬も食卓に出しておく
 ・薬を飲む時間に目覚ましをセツトしておく
 ・1日1回飲む薬は、自分なりに飲み忘れにくい時間をみつけておく
などの、方法もあります。
 
 また、薬を飲み忘れたら、余分に飲むことはせずに、気がついた時点から飲み始めるのがいいでしよう。そして、薬の飲み忘れは隠さずに、医師に告げるようにしましょう。
 薬の中には、一、二回飲み忘れても、たいして問題にならない薬もありますが、飲み忘れては困る薬も多いのです。たとえば、抗生物質、抗精神病薬、ホルモン剤、ステロイド剤、循環器用剤などは、飲み忘れると病状が悪化したり、思わぬ障害を起こしたりする危険もあります。
 
 自分が飲んている薬が、そうした心配のある薬かどうかは、なかなかわからないと思います。だからこそ、薬を飲み忘れたときには、医師にそのことを告げて、適切な判断をあおぐようにしていただきたいのです。たとえ医師から厳しく注意されたにせよ、こうしたことで医師とのコミユニケーションがはかれるようになる、といった思わぬ効果が期待できるかもしれません。