22)医薬分業ってどんなことですか

医薬分業ってどんなことですか

 医薬分業とは、医師・歯科医師が患者の診断・治療をおこなった後、医療機関から発行された処方箋にもとづいて独立した薬局の薬剤師が調剤や薬歴管理、服薬指導を行い、それぞれの専門性を発揮して医療の質の向上を図ろうとするものです。

 医薬分業の制度はヨーロッパ、ことにドイツ、フランスなどでは、数百年も前から行われていました。13世紀に神聖ローマ皇帝フリードリッヒ二世によって定められた医療法の中では、医師と薬剤師の人的、物理的分離、医師が薬局を所有することの禁止などの条項が定めらています。

 それに反して日本ではようやく医師、薬剤師、患者の3者が一体となり、相互理解のもとで治療に臨む時代となってきました。

 一般的に、次のようなメリット・デメリットが考えられます。

<メリットと考えられること>

  1. 医師が手持ちの薬に縛られず、治療に必要なものを自由に処方できる。また、薬の管理などから解放され、治療に専念できる。
  2. 薬剤師が処方せんを点検することで、投与ミスを防止できる。また、患者の服薬管理が整えば、複数の医療機関からの重複投薬をチェックできる。副作用の防止にもつながる。
  3. 病院薬剤師は、入院患者に服薬指導するなどの病棟業務に専念できる。
  4. 薬の受け取るまでの待ち時間が短縮される。
  5. 処方、調剤の責任体系が明確になる。

<デメリットと考えられること>

  1. 患者にしてみると、病院と薬局を回るのは二度手間となる。
  2. 病院の処方せん料や薬局の調剤基本料などがかかるために、費用が余分にかかる。

このように医薬分業のメリット・デメリットを考えるときに、
 (1)患者の立場、
 (2)医療機関及び医師の立場、
 (3)薬局・薬剤師の立場、
 (4)医療保険財政の立場で論じられるので、議論は複雑になります。


 また、医薬分業の進展の程度及び受け入れ体制の整備状況によってメリット・デメリットが逆になることもあり、医療保険の動向、医療技術(調剤技術)の内容、社会の動向によって絶えず変化していくものと思いますが、いずれにしても、医療の質の向上に役立ち、保険財政上の支障を生じないことが大事だと考えます。